なんか、普通なんです。
普通のできごとがさらさら流れているようで、中身はドロドロの血液が流れてような感じです。
そんな長編小説、山本文緒さんの「自転しながら公転する」を少し紹介します。
小説を読んだあとあるあるです。
読んだ直後っていうのは、ぐるぐるとそのお話の世界を考えてしまいますよね。
そんなぽわんとした、高揚した感じになりました。
自転と公転というタイトルの意味
「自転しながら公転する Spinning Around My Whirl」
というタイトルです。
spin around は~の周りをまわること、whirlは回転、(転じて)混乱、目まぐるしい様子 という意味があります。
「なんで私がここまでやんなきゃならないのとか、不平不満が爆発しそうでさー。家事をやりつつ、家族の体調も見つつ、仕事も全開で頑張るなんて、そんな器用なこと私にはできそうもない。(中略)なのに私、これしきのことでなんか頭がぐるぐるしちゃって」
引用元:自転しながら公転する 山本文緒(著)
タイトルの意味は、序盤にでてくるこの会話にあります。
こんな人におすすめ
- 茨城県民である
- ショッピングモールで働いている(働いていた)
- アパレルショップで働いている(働いていた)
- アラサー以上の女性である
- 結婚を考えている
- リーダー経験がある
- 職場に先輩も後輩もいる
- 議論するのは苦手で仲裁に入るタイプ
- 実家暮らしである
- 親の介護をしている
どれかにあてはまれば、この感じわかるわあ!と共感できる部分があります。
私はこの中で当てはまるのは3つしかありません笑
それでも身に覚えがある!と、描写や言葉にうなずいてしまいました。
共感ポイントがあれば、長編でもすいすい読めてしまいますね。
共感ポイントが多いのは普通に起こりそうな話だから
主人公は32歳女性、アウトレットモールの服屋さんで働いています。
親の介護のため、東京から茨城の実家に戻ってきました。
職場である男性と出会います。
はい、よくある展開なんです。
よくある話で、普通に起こりそうなことなんです。
だからゾゾゾォと引き込まれて一気に読んでしまいました。
主人公と、その母親の視点で書かれており、話が進んでいきます。
母親が主人公視点で書かれているところがあるのです。
- アラサーの娘がいる
- 子どもや家族に介護されている
- 更年期障害に悩んでいる
これらにあてはまる方にとっても、共感できるところがありますよ。
ショッピングモール、衣料品店、レストラン、フードコート。
イメージしやすくて、頭の中で情景をつくりあげることができます。
茨城県民の方、牛久大仏など馴染みのあるものが出てきますよ。
主人公が存在しているかのように、生活や気持ちが見えてきます。
人の表向きの顔、裏の顔がぽつりぽつりと見えてくるのです。
これ、私のこといってる?
まるで自分の悪口を話している現場に、息をひそめて聞いているかのようでした。
グサッとささるセリフがあったので、紹介します。
共感したセリフ・ハッとした言葉
たくさんあるんですが、一部引用させていただきます。
引用元:「自転しながら公転する」山本文緒(著)
結婚を具体的に考えはじめたとたんに、彼の無駄遣いが、自分の財布から出ているように感じてしまった。
自分の人生を思い通りにするために、パートナーを物みたいに条件で選んでるじゃないですか
都さんがもっている不安は、貫一さんの将来じゃなくて、自分への不安じゃないですか
お洒落(しゃれ)な人は狭量だと言われたことを思い出した。お洒落とは人との差異だから、それはそうだと思った。(中略)何かに拘(こだわ)れば拘るほど、狭量になっていく。幸せに拘れば拘るほど、人は寛容さを失くしていく。
少し毛色がちがうパターンで、この言葉もそうだよなあとうなずきました。
新しくショッピングセンターとか出来ると七割くらいは服屋じゃね? 服ってそんなに儲かるの? あれ全部本当に売れてんの?
長編小説がしんどいならこちらがおすすめ
こちらの記事でさらっと読める小説と、短編小説を紹介しています。
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社会にうまく溶け込んで生活している人へ
「結婚、仕事、親の介護 全部やらなきゃダメですか?」
帯に書いてある文です。
社会とも、友達、家族とそれなりにうまくやってきたのに、、! どうして?
そんな方に読んでみてほしいです。
なにしろ分厚い本なので、、読書が苦手な方はまず手に取ってみてください。
本屋さんで少し立ち読みしてみるか、図書館で借りてください。
一度、山本文緒ワールドにはまってしまえば、すべての作品を読みたくなりますよ!